乾睦子の玉虫色日記

岡山石紀行(2)北木石

9月に見学させていただいた岡山の採石場シリーズ,第2弾にして完結編は,北木石であります(第1弾の万成石の記事はこちら).

北木石は,西洋風石造建築物が建てられるようになったかなり初期の段階から東京に入ってきていた石材のようで,例えば日本銀行本店本館(1896年竣工)に使われている.
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(2009年3月撮影).1階部分が北木石,2階はまた別の石材だそう.歴史の重みが感じられる風格.

しかし風格ありすぎてどんな石か分からないと思うので,新品の北木石はこれ.
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白系の花崗岩です.白・グレー・黒のゴマ塩模様でかつ黒ゴマが少ない.遠目ではかなり白い.

いま混雑し過ぎでイベント中止になるほどのトレンディスポット(死語)東京駅舎の,周囲の歩道の敷石は北木石だそうだ.ちゃんとした写真撮ってないので載せないけど,改装工事中に覗いたら真っ白な歩道がとてもきれいになりそうだった(新しくなってから行ってない).

北木石は,北木島で採掘されている.北木島へは,岡山は笠岡の港からフェリーで行ける.
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島に近づくと,ご覧のようにこんもりした植生の間からところどころ岩肌が見えている.これが以前はすべて採石場だったらしい.今でも一部の採石場では採掘が続けられているので,覗かせていただいたらこれがびっくり.
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細く深く掘る形の採掘だった.この写真では規模がよく分からないけど,撮影者が立っている場所から水面までは約30m.その水面からピットの底までは深さ約40mも水がたまっているとのこと.70m?!

あとで,別の業界関係者から「あそこは怖くて降りられなかった」というコメントが.いやもちろん降りませんでしたよ,そんな怖い…

このような形になっているのは,花崗岩の分布や特性などの理系の理屈によるのではなくて,土地の所有形態などの社会的な要因が関係しているようで,石材産業とは人の技(というか業?)なのだなぁということを感じたり.

採掘の方だけでなく,石材を加工する工場も見せていただいた.国内の他の産地と同じように,今は外国からの輸入材の加工も行って成立しているとのこと.北木石は目の粗さにバリエーションがあることとか,製品になった後に「錆びる」(表面が褐色を帯びる)傾向があることなどいろいろとお話をうかがうことができた.

この北木島で素晴らしいと思ったのは,石材産業の歴史を記録にとどめようと,地域の有志により地元の学校の一室に資料館が作られていたこと.
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嬉しいです.いや別に私の知りたいことがそこで得られたからではなくて(それはそれでもちろん嬉しい事だけど…),地域で気にも留められてないことがあるから,石材産業って.でも地域の産業は地域社会と密接に関連しているから,どんなことでも忘れ去らない方がいいと思う.地域で資料を積極的に保管することは,その地域にしかできない重要な仕事だと思う.

しかし,そういう私も,子供の頃の社会科や地理で「各地の産業」なんてのは大嫌いだったのを懐かしく思い出す今日この頃….ただの暗記でつまらないと私は思っていたけど,きっと地理が得意な子にとってはただの暗記じゃなく,地域と社会の関係が見えていたんだろうな.

ちなみに上の中学校の門柱ももちろん北木石とのこと.この石が自分達が住む島で採れたものだって,生徒達の全員が知っているんだろうか?当たり前過ぎる?むしろ中学校の門柱ってどこでもそうなんじゃないのって?

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# by inui56 | 2012-12-25 15:36 | 大学

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