乾睦子の玉虫色日記

グルノーブル報告(国士舘大学新聞の記事)

「国士舘大学新聞」にグルノーブル生活を報告する記事を寄稿しました.それが掲載された号が発行されたので,今日は同じ文章をこちらにもアップします.紙面はこちらで見ることもできます(pdfファイル)

以下,記事.

フランスの南東部,イタリアとの国境にほど近いアルプスの麓にグルノーブル(Grenoble)はあります.在外研究のため,何も知らないままここに住み始めて一ヶ月半が経ちましたが,街も人々も環境も素晴らしく,ここに来ることができたのは本当に幸運だと感じます.

アルプスの山々に取り囲まれた街グルノーブルは, ドラク川がイゼール川に合流する地点にあって,他の多くの街と同じように旧市街が川沿いに発達しています.旧市街を一望できる山の中腹に古い城塞があり,旧市街からイゼール川を跨いでその城塞へと昇っていく球形五連のロープウェイがこの街のトレードマークです.人口は約十五万人余り,周囲に分布する小都市群を含めた都市圏全体では五十万人を超えるそうです.

グルノーブルの地図を眺めるとかなり大きく目立つのが大学キャンパスです.大きく三つに別れていて,私の受入先である地球科学分野を含む理工系学部はジョセフ・フーリエ大学にあります.郊外に世界的規模のシンクロトロン施設があるなど,この街はヨーロッパでも指折りの自然科学研究センターなのです.キャンパスは広大で緑豊か.トラム(路面電車)を降りてから紅葉し始めた木々の間を十分ほど歩く毎日は快適です.道に落ちた果実を避けながら歩いていると,リスやウサギを見かけます.

来てみて驚いたことがいくつかあります.ひとつは夏の日中の強烈な暑さです.冬季五輪の開催地と聞いて寒いと思い込んでいましたが,実は内陸なので夏暑く冬寒いのです.盛夏には乾燥した暑さが続き,少し歩くだけで喉が渇きました.加えて山に囲まれているため空気が動かず,中心市街地では大気汚染の問題もあるそうです.確かに風は少なく,雨が斜めに吹き込まないので,真上にさえ屋根があれば雨の日でもテラスで食事ができます(庭やテラスで食事をする風景は隣近所でごく日常的です(九月末現在)).夏の暑さと大気汚染を避けて,敢えて中心地から遠い郊外の山々の中に住み市内まで通勤する人も多いようです.山間のその小さな街々がまた大変かわいらしいのです(写真のVenonという街もそのひとつ).私と同世代の方なら,懐かしの某アニメ番組に出てきた「デルフリ村」がイメージそのままです.
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もうひとつ驚くことは,市街地の平坦さです.盆地で,市街地のどこからでも目の前の山の形を見れば方角が分かるほどに周囲が山がちなのに,盆の底の土地自体にはほとんど起伏がありません.これはなぜかというと,大昔ここが湖だったからだそうです.湖底に水平に堆積した地層が,今の水平な地面というわけです.このことは同僚との世間話で聞いただけでとくに確認してはいませんが,地球科学者にとっては専門ですから信頼性は限りなく高いでしょう.

最後に人々について.フランス語のおしゃべりは本当にささやくようで,装置が壊れて皆でああだこうだ言い合っている時でも大変静かです.一方で,時折廊下からひゃっほう!と奇声が響いてくる陽気さもラテン系のイメージ通りです.あと半年をこの地で過ごす間に,(本来の岩石の研究のほかに)そのひゃっほう!が何の音なのかを理解できる程度にフランスの言葉と文化に親しんで帰ることが目標です.

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by inui56 | 2009-11-23 20:36 | 大学

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